IE手法とは?

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IE手法|カイゼンの基本

トヨタ生産方式が体系的にまとめられマニュアル化されたのは、昭和40年代後半のことです。トヨタではそれまでに種々のカイゼンを実施し、ようやく、一つの生産方式ができあがってきたことによるものと思われます。

カイゼンの過程で、現在活用されるようになった、さまざまなトヨタ独自の用語が生まれています。
この間、トヨタでは昭和30年から昭和50年代にかけて、繰リ返しIE手法の教育がなされました。IEとは、Industrial Engineering(インダストリアルエンジニアリング)の略で、適当な訳語がないため、そのままIEと呼んでいます。
IE手法とは、モノと人の動きを細かく見る技術です。内容は、人・モノ・設備および情報を総合して、もっとも経済的な仕事のシステムをつくリあげていこうとするものです。

ムダや問題が解決しないのは、ムダや問題が見えないからで、モノの見方が粗いからです。IEはモノの動きを細かく見ていく方法ですから、IEを学ぶと、今まで分からなかった問題が見えてくるようになります。

IEの特色は、下図のように仕事を工程→作業(単位作業→要素作業)→動作(要素動作:サーブリッグ)とだんだん細かく分けていき、それぞれについて、「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくしていくことにあります。
下図は、教師の仕事を分析した例です。工程単位で見た場合、教師の仕事の付加価値を上げるためには、さしあたっては、○の部分(授業等)の占める割合を増やす必要があります。どんなにがんばって移動しても、付加価値は生まれません。○の部分で問題が見つからなければ、次は、単位作業の分析をします。

IE手法とは?

IEの基礎となる作業研究

IEは、テイラーの時間研究と、ギルブレス夫妻の動作研究を源に今日に至っています。そして、両者が発展、融合して体系化されたものが「作業研究」です。体系化の過程で、IE技術の適用範囲は非常に広範囲になり、IEの分析技術と内容も高度、複雑になり、習得するのが容易でない状況になりました。
このようなことから、IEは一時衰退しました。
しかし、VTR等の分析機器の発展にともない、専門的なIEの分析技術を知らなくとも、ムダを見つけることは容易になっています。
IEを大まかに整理すると、下図のように、工程や作業方法、手順を調査分析して改善する方法研究と、作業に必要な時間を測定して無効時問を排除したり、標準時問を設定する作業測定の2面からなっています。
 方法研究:3ム(ムリ、ムダ、ムラ)のある工程や作業、および動作を分析し、経済的かつ安全で楽な作業方法をつくリ出すことです。主な着眼点として、「動作経済の原則」があります。
作業測定:作業システムや構成要素の働きを時間という尺度で数値化し、改善や維持の目安とするものです。大別すると、連続時間分析法とW・S(ワークーサンプリング)法になります。
理解を容易にするために、製品の検査に全数検査と抜き取り検査があるように、仕事の全数検査が連続時間分析法で、仕事の抜き取り検査がW・S法と見ればよいでしょう。

IE作業研究

作業研究に必要な工程分析

作業研究で、まず必要なのは「工程分析」です。工程分析では、原材料が加工されて完成品へと変化していく過程を調べて、製品工程分析表を作成します。工程分析は、加工、運搬、検査、停滞の4つに分けられます。
①加工…数種類の部品を組み立てたり、分解および材料を変形、変質させるプロセスをいいます。
②運搬…モノを移動させることで、機械運搬と人による運搬に大別されます。
③検査…測定器等で基準との比較をすることで、量の検査と質の検査に大別されます。
④停滞…材料や部品が加工、運搬、検査されないで置かれている状態をいい、停滞(工程間の一時的な待ち)と貯蔵(指定された保存)に大別されます。停滞期間の短縮が生産期間短縮に大いに寄与すると言われています。

工程分析を行うと、職場の実態が明確になってきます。たとえば、一回ですむはずの運搬を何箇所も積み降ろして、繰り返し運搬されている場合、分析することで運搬のムダがよく見え、レイアウトの設計や運搬(回数と距離)の減少に役立てることができます。
生産量を前工程受け入れ数量と後工程の払い出し数量の差で把握すると、仕掛数量と仕掛期間が分かり、仕掛数量の減少に役立てることができます。分析した4つの各工程に時問を入れると、付加価値を生み出さない工程の割合が分かり、問題工程として改善の的が絞りやすくなります。

作業研究に必要な工程分析

要素動作改善のための動作分析

同じ作業でも、慣れた人と慣れていない人とでは、仕事のスピード、正確性に違いがあります。慣れた人はキーボードに目はいっていません。目は資料とディスプレイを交互に見ているだけで、両手は迅速にキ-をたたいています。

現場の作業もまったく同じことが言えます。慣れた人は慣れない人に比べ、作業は何倍も速く、正確で楽に仕事をこなしているのです。そこで、ムリ・ムダ・ムラのない作業方法や手順を研究し、作業に慣れていない人でも効率の良い作業ができるよう、体系的に研究されたのが「動作分析」です。
問題が見えないのは、モノの見方が粗いからにほかなりません。作業内容を細かい動作に分解していくと、「要素動作」となり、作業を分析するときの最小単位になります。
ギルブレスによって始められ、現在、要素動作(基本要素)となっているものは、下図のとおりです。生産現場では、第2類、第3類の要素動作を排除することが望まれます。

要素動作改善のための動作分析

動作経済の原則

動作分析をして作業を改善するといっても、どこに絞つて着眼するかが大切です。改善は人の動作を改善するだけでなく、部品、治工具、機械などの置き方、レイアウト等を含め、人が効率良くしかも経済的で安全かつ楽に作業できるような方法が必要になってきます。
 動作経済の原則とは、ギルブレスが経験からまとめた「人間が最小限の疲労で最高の能率をあげられるように、もっとも良い作業動作を実現するための方法」を、その後の動作研究者が充実させていったものです。
動作経済の原則には次のような4つの基本原則があります。
①動作の数を減らす
 ②身体部位を同時に使う

 ③動作の距離を短くする
 ④動作を楽にする      
さらに、この4つの基本原則を次のように3つに分類します。
①動作方法の原則(身体の使用に関する動作経済)
 ②作業環境の原則(作業配置に関する動作経済)
 ③治工具・機械の原則(工具および機械の設計に関する動作経済)

(1)動作の数を減らす

不必要な動作はなくし、動作の数を減らします。
必要な動作もできるだけ少なくしていくと、作業は楽で速くできるようになります。
不必要な動作とは、よく分析してみるとその仕事の目的に何の役にも立っていない動作のことです。
動作の数を少なくする着眼点は、要素動作改善の目安で説明した、第2類と第3類の動作を排除することです。
(2)身体部位を同時に使う
作業をつぶさに観察すると、片方の手はよく動いているのですが、他方の手はまったく遊んでいたり、その援助をしているだけの場合が多いものです。両手は同時に動作を始めて終わるようにし、両手が遊ばないようにします。手だけでなく同時に足を使う工夫をすると、作業はさらに楽で速くできるようになります。

動作経済の原則1
(3)動作の距離を短くする

動作で時間を必要とするものを見つけ、短縮していきます。動作時間短縮の着眼点は、次の事柄が考えられます。
①歩行の排除
②腕の移動は正常作業域で
③かがむ、立つことの排除
④身体の回転(横を向く、後ろを向く)の排除以上のことから、材料や工具は作業場所のできるだけ近いところに置き、正常作業域で作業することを考えて、時間短縮の工夫をします。
(4)動作を楽にする
ムリな姿勢の作業や重い荷物運びなどに対し、楽で、力をそれほど必要としない仕事のやり方を考えます。また、作業台の高さは作業者の身長に合わせ、照明もルクス管理(検査、精密作業等)を行い、継続する作業の場合、疲労で能率や精度が落ちない工夫が必要です。騒音、振動、粉塵、臭気等の対策も考え、職場環境をよくする必要があります。

動作経済の原則2

標準時間とは?

作業システムや構成要素の働きを、時間という尺度で数値化し、計画や作業の目安とするとき、時間は作業のやり方や作業をする人の熟練度などで違ってきます。このようなとき、標準になる時間、つまり標準時間があれば、計画は楽に立てることができます。

標準時間は、次のように定義づけることができます。
①作業をするために必要な熟練度を持った作業者が
②所定の仕事を定められた作業条件のもとで
無理のない良好な作業方法と作業速度
④顧客の要求品質をつくり出し
所定の量の作業を達成するために必要な時間
標準時間は、日程計画、原価の見積り、外注単価の決定、適正人員の算定など、経営における諸管理の基準として大変重要なものです。標準時間が設定されてないと、計画はドンブリ勘定となり、あらゆる箇所でロスを生じます。
一方、標準時間を完全に設定しようとすると、多くの工数が必要となります。すべての作業に同レベルの標準時間を設定する必要はありません。重要なものだけ必要な精度で、設定するのも一つの方法です。

たとえば、問題工程は精度の高い分析をして、標準時間を設定するが、一度分析した類似工程や全体を把握するためだけのものは、粗い精度で分析してもよいでしょう。
標準時間の基本的な手順を示すと、下図のようになります、標準時間の設定法はいろいろあります。精度の高いものはかなり技術を必要とします。

標準時間とは?

動画 IEによる現場マネジメント基本コース

IEによる生産性向上の具体的な手法について、簡単な事例をつかってわかりやすく解説


*工場のIE手法については下記の文献に色々な活動事例等が更に詳細に記載されています。

参考文献:

・日本のモノづくり トヨタ生産方式の基本としくみ 佃 律志 (著)

・すぐに使えるトヨタ生産方式 導入・実践ノウハウ集 (工場改善シリーズ) 竹内 鉦造 (著)

・すぐに使える現場改善 実践手法&フォーマット集 杉浦 正邦 (著)

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